会長 ご挨拶

森本幸裕

昭和23年生まれ
京都大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学
農学博士
現在、京都大学大学院教授
日本緑化工学会前会長
国際景観生態工学コンソーシアム(ICLEE)副会長

 アメリカの金融危機に端を発した百年に一度とかいう世界的な経済危機は、 実体経済にもたいへんな影響を与えています。緑化関係も例外ではないですが、 落ち込んでばかりはおられません。小橋澄治先生も常々おっしゃっていたように、 時代は大変革期です。バブルがはじけて経済全体が縮小して落ち着いた先、 それはどんな世界でしょうか。

 以前に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」は「低炭素」「循環型」「自然共生」のありかたを検討しつつ、 「持続可能な社会」を作っていく、というものでした。これまでとかく後回しとなっていた「環境」を正面から とらえた社会づくりが、我々の子や孫の世代も考えて必要なのはだれも表立って否定はしません。 しかし不況になると高速道路1000円政策で化石燃料消費を奨励する、矛盾した政策もでてきます。 環境と経済の好循環をどのように作っていくかが、ポイントでしょう。

 気候変動の問題に対しては、スターンレビューが大きく世界を動かしました。 これは2005年の主要国首脳会議を受け、ニコラス・スターン元世界銀行上級副総裁に作成を依頼した、 気候変動問題の経済影響に関する報告書で、早期に断固とした対応策をとることによるメリットは、 対応しなかった場合の経済的費用をはるかに上回ることを示したものです。 一方、2008年のボンで開催された生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)の閣僚級会合では 「生態系と生物多様性の経済学」の中間報告が発表されました。2010年に日本で開催されるCOP10では その最終報告が予定されています。

 一方、毎年、ワールドウォッチ研究所から毎年出版されている有名な「地球白書」の最新版を読んだら、 「生物多様性バンキングシステムを構築する」章もありました。 そこでは、古典的な湿地のミティゲーションバンキングだけでなく、ビジネスと生物多様性オフセットプログラム (BBOP)をはじめとする多様な展開も示されています。 わが国でも「日本経団連生物多様性宣言」「企業と生物多様性イニシアティブ」(JBIB)などの動きがあります。

 そんななか、環境緑化の分野も、いかに「低炭素」「循環型」「自然共生」に貢献しているか、という点をアピールしていく必要があるかと思います。 また、技術や工法は適用する地域とその状況によって、異なってきて当然ですし、地域全体の緑の景観の質を高め、 安全・安心とともに豊かな文化の創造に貢献するものでなくてはなりません。

 先日、第3次の生物多様性国家戦略が策定され、そこでは、この100年間に劣化した生物多様性を100年かけて再生することが、高らかに謳われています。 では、地域の絶滅危惧種はどうやって再生すればいいのでしょうか。恐らく単なる施工技術だけでなく、順応的な生態系管理技術が必要とされるでしょう。 これからはそうした環境貢献をビジネス本体に組み込んだスキーム、生物多様性オフセットやキャップアンドトレード、環境税などの導入が必要になってくるでしょう。

環境緑化には、そうした要請にも答えられる技術開発が望まれます。産官学だけでなく、市民もどう巻き込んでいくかがこれからの課題となりそうですが、 なんとか微力を尽くしたいと思っています。

理事長 ご挨拶

柴田和正

柴田和正

日頃の皆様のご支援、ご協力に厚く御礼申し上げます。

私達を取り巻く環境は、相変わらず大変厳しいものがあります。環境の保全、生態系の保全をキーワードとして、私達は工法や製品をお客様に提供するだけで はなく、真心を添えた緑化を提供するために一体何ができるのだろうか、皆さんのご協力を賜りながら一緒に取り組んでまいりたいと考えてます。

現在『環境』をテーマにいろいろな取り組みをおこなっておりますが、今後は、いかに『環境を創出』をしていくかが問われるのであり、そして、同時にまた、今こそ『環境を創出』できる協会として大いにその力を発揮できる絶好の機会であると考えます。

これからも、『環境を創出』する団体として、協会をより一層活性化していく所存でございますので、皆様のご支援ご協力の程をよろしくお願い申し上げます。